eLearning Conference 2009 Winter 「オンライン学習を支援する わかりやすいメッセージを書く」という演題で、青山学院大学大学院の松田先生の講義に参加してきましたキバンインターナショナルの長谷川です。内容が非常に面白かったので報告します。
eラーニングを行うと受講率が低い、という悩みはどこでも聞かれます。
松田先生はあることを行うことで受講後の修了率82%を達成し、ついに対面授業よりも修了率を上げてしまったそうです。
それが「学習支援」のスキルアップでした。
実は始めたばかりの頃は修了率の異様なまでの低さに「あぁ、予算が削減されてしまう・・・」と嘆いていたそうですが、その後学習支援者を導入して簡単なメールをすることによって、実際はお問い合わせがほとんどないにも関わらず、修了率が5割まで上昇し、その後このスキルを磨いていいくことで82~3%という驚異的な数値の達成が可能になったそうです。
学習支援者というと、教材の作成者でもなく、評価をする人でもなく、受講者でもないという立場です。
受講生にとってはまさにeラーニングのやる気を持続させてくれる非常にありがたい存在です。
そんな学習支援者の役割は、受講者に「わかりやすく、相手の身になってメッセージを送ること」。
お問い合わせを受けるよりも、こちらから相手に学習をしてもらうように説得していくテクニックが要求されるそうです。
実際、参加者は「このメッセージのどこが悪いか」を抜き出して、より相手に伝わりやすいメッセージを書くことに。
- 「どんな質問でも」といった曖昧な表現を避ける]
- 主語は相手にする (教材を割り当てました、ではなく、教材の受講が可能になりました)
といったポイントに気をつけて、メッセージを書き直しました。恐ろしいのは、「このダメなメッセージは全て実際にあったメッセージです」ということ。
中には、「えっ、こんなメールが来たらちょっと許せない」というものまであり、背筋が寒くなりました(案の定、相手がけんか腰になったそうです)。
「いつでもできる、どこでもできるeラーニングは、いつか、どこかでやらなければいけないんですよ。それには、相手の「忙しい」を乗り越えて相手を説得する必要があるんです。具体的には、どこかの部分の時間をあきらめてもらわないといけない」
と、苦笑いしながら松田先生。
ただ、eラーニングに対して学習支援を行うことができる企業はなかなかないそうで、1人当たり1000人以上をみている企業が多いとのこと。
「それだけに、メッセージでよけいな誤解を生まないようにすることが大切です」
そのために、あらかじめおおよその人物像を伝えておくことが効果的だそうです。
人物像、たとえば自己紹介に趣味などを混ぜてその人らしさを出すことで、目の前にいない学習支援者、メンター、チューターといった応援してくれる相手に不要な誤解を与えないそうです。
ちなみに、メッセージに失敗すると、そのフォローも必要だったり(「何でも質問してください」と書いたら「パソコンの買い換えを検討していますがおすすめは?」とか「犬の調子が悪い」とか、本当に来たそうです)と、よけいな手間が増えてしまうということでした。