1つの製品やサービスが成功すると、新しい製品やヒット策が出づらくなります。大学時代に商業史のゼミに参加していたので、様々な企業の栄枯盛衰について調べていくにつれて、成功した企業がいかに成功し続けるかが難しいかを感じます。(本当に難しいのは、ヒット商品を作ることのほうが難しくて、1つも大ヒットしないままということの方が多いですが。)
また、時代が移りゆき、技術が変化していくなかで、前進をやめた瞬間から、その場にとどまることができず、見えない形で、どんどん後退が進み、気がつけば取り返しのつかないところまで状態が悪くなっていることもあります。今、たとえ会社の製品やサービスが売れていて利益がでていたとしても、次の新製品、新サービスに取り組まなければ、いつか死滅するという恐怖感と戦っています。
常に「製品寿命」という時限爆弾を社内に抱えているイメージ
日々の心の持ち方、チェックの仕方で、変化を嫌い、何もしないことが衰退の危機を招くことがが回避できないか、私たち自身が行っている方法を紹介します。
1.新しいお客さまのニッコリを妄想する
たいていは、私たち自身が欲しいと思うサービスや製品を作るのですが、その製品がニッチすぎないか、あまりにもマニアックな製品ではないかどうかを確認する作業をします。紙に箇条書きにするのではなく、できるだけ映像として、どのような年齢のどのような職業の人が、どのような場面でニッコリ笑って頂けるかを、いろいろ妄想します。その人が、私たちの製品を、すごい製品がある、、、と友達に紹介するとしたら、どの部分を紹介するだろうか、、、と想像し、イメージが明確に持てるもの、考えるだけでワクワクするようなものを新製品の企画段階で考えるようにしています。
2.仮想のライバル企業を想定してみる
どんな会社のどんなヒット製品でも、360度、どの方向から分析しても完璧、最強で一分の隙もないという製品はないと思います。仮想のライバル企業(大資本や社員数が多い、開発力が無限にあるなど、仮想の会社を想定した方が良いです。)が、私たちの製品を追い落とすために、新製品を作るとしたら、どのようなコンセプトで、どのような価格で出してくるかを考えます。現実の会社を想定すると、実際以上に過大に評価したり、過小に評価する可能性があるので、私がライバル企業の社長だったら、どんな製品をだしてくるだろう、、、と想像します。何の制約もなく、自由に、既存の企業以上のものを作るのだったら、どうするだろうと、相手企業の立場で考えます。
3.無料でオープンソースのものが発売されることを想定してみる
私たちはソフト会社ですので、クローンと呼ばれる同等の機能を持つ物が無料で、オープンソースで発売されたら、それでもお客さまが喜んで代金をお支払いしていただける状態が続くかどうかを考えてみます。また、自分がプログラマーで、どのような物でも開発できるとしたら、どのようなオープンソースやクローンを提供するだろうか、、、、ということを考えます。優秀な個人で開発ができると判断したものは、近い将来、無料でオープンなものが登場する可能性が非常に高いので、会社、組織で取り組む必要がある製品であるかどうかを確認します。(逆に、オープンソースで世界中の開発者の協力を得られるかどうかを考えることもあります。)
4.子供や父・母(祖父・祖母)ならどんな反応をするだろうと想像してみる
小さな自分の子供にも説明ができるような明確なコンセプトだろうか、、、、。コンピュータを全く使ったことがない父や母に説明して便利そうなものだと理解してもらえるような製品であるかどうかを考える。同じような発送で、日本以上にITが進んだ国でも競争力があるような製品のコンセプトであるかどうか、日本以外の国でも喜んで利用してもらえるサービスであるかどうか。
5.新聞やテレビで取り上げられるとしたらと想像する
大ヒットや完全に新しい製品を作るわけですから、完成し販売を開始したときには、新聞の全国紙がこぞって掲載したり、テレビが取材にくることを想像します。どのような見出しで報道されるかを、記者の気持ちになって考えてみると、多くの場合が、革命的だと思った製品やサービスも何が売りなのか、一般の方(専門の人ではないという意味で)に、どれほどの新しい価値を生みだすのだろうと考えると、再考が必要なことが分かります。
まとめ
頭の中で、いろいろなことをシミュレートするのですが、思いつくままに書き出すと、上記のような5点を新製品、新サービスを作るときに、繰り返しチェックする項目として使っているように思います。シミュレーションも大切ですが、世の中を変えるような大発明はそう簡単ではありません。大発明ができるまで、リリースしないと、会社は倒産してしまいます。限られた資金、スタッフで、時間と戦いながら、製品を作っていくことになります。理想の一歩手前でもいいので、どんどんリリースをして、多くの人に利用頂き、その声を反映しつづけるのが、新製品、新サービスを軌道にのせる上でベストの方法だと思います。何かの参考になれば幸いです。