14日の南岸低気圧のまとめ

南岸低気圧がどうなるか…書きましたが、結果的には関東南部はスゴイ大雪になりましたね。おかげさまで、交通機関、道路大混乱でした。実際どうだったのでしょうか?

朝4時から南岸低気圧パトロールに出かけ、7時前には東名高速道路で御殿場につきました。

この間は、しっかりした雨(時間3ミリぐらい)降っていましたが、気温が一気に下がるということはなく、ずっと雨でした。

恐らく、上空850hPa(1500m)付近の温度場が大して冷たくなく、降水によって寒気が引きずりおろされることもなく、また湿度も高くなり始め蒸発熱が奪われる効果も大きくなかったのかも知れません。そもそも降水が始まる前の気温が5~6℃程度ありましたが、強めの降水が始まっても1~2℃ぐらいゆっくり下がるぐらいで、急激な気温低下はありませんでした。

左が東京の10分毎の気温変化、右が横浜の10分毎の気温変化です。降水の強さは変わりませんが、東京は11~12時頃横浜は9時~10時頃に気温が2℃ぐらい下がって、0℃台になりました。これが、雨・ミゾレから完全に雪に変わる時です。

このタイミングを含めた、レーダーエコー合成図を見てみます。(6時~1時間毎)

<6時~12時レーダーエコー合成図>

関東地方には、朝早くからべったりとエコーがかかっています。そして、注目はブライトバンドです。福井、名古屋、静岡、東京の4か所それぞれのレーダー基地を中心にブライトバンドができています。ブライトバンドは融解層です。東京レーダーに注目すると、そのブライトバンドの半径が時間経過とともに小さくなっていくのが分かります。これは、融解層が下がってきているということ、つまり半径が小さくなるということは、0℃層の高度が下がり雪に変わる公算が高くなってきていることを示しています。実際、東京では10時半頃に初雪を観測し、その後はしっかりと雪に変わり積雪していきました。

南岸低気圧で雪になる時に重要なのは、何度も言ってますが「下層寒気」です。今回は、先ほど言ったようにそもそも降水が始まる前の気温は高く、降水が始まってもダラダラっと気温が下がっただけでした。では、下層の寒気層はどのように形成されたか、925hPaの風・気温(解析)と900mのウィンドプロファイラの風の変化を見てみます。
(925hPa風・気温は3時間毎、ウィンドプロファイラ観測は1時間毎で表示されています。)

925hPaの気温はピンク線、その0℃線が赤い太実線、丸ベースの上に書いてある矢羽が、ウィンドプロファイラの観測です。

水戸のウィンドプロファイラに注目すると、はじめは南東風ですが次第に東よりから北東風に変わっていきます。その風に伴い北東方向から寒気がグイッと南下して、9時には埼玉西部、東京奥多摩地方に0℃以下の層ができはじめ、12時には0℃線が相模湾まで南下しています。これで、12時には関東南部ではほとんど雪になったということです。

では、この寒気がなぜ急に入ってくるようになったのか。それが、南岸低気圧の発達に一因があると考えられます。

<3時~15時 中心気圧の変化>

上の図は、MSMの解析による低気圧の中心気圧の変化です。3時~9時までは、3時間毎に2hPaずつ下がっています。ところが、低気圧の中心が紀伊半島の南海上を通過した9時以降は、3時間毎に6hPaずつ下がりこれまでよりも急に気圧が下がっています。この急激な発達とタイミングとが、下層寒気の引き込みを一気に強めた一因とみられます。これは、925hPa気温・風分布の解析ともほぼ一致しますね。

今回の南岸低気圧は、雨に変わるタイミングは遅かったですが、それは上空(850hPa)の寒気が弱かったことや地上気温が高かったことが理由として挙げられます。その後、無事に(?)下層の寒気層が形成されたのは、紀伊半島の南海上を過ぎた低気圧の急発達が、一因を担っていると考えられます。

今回の南岸低気圧は、南岸通過中に急発達しその後も発達し続け、下層寒気を一気に引き込むという、気象予報士試験にうってつけの事例であったと思います。よく復習しておいて下さい。

そして…「こんな東京見たことない!」という景色にたくさん出会いました。

どれもこれも、東京とは思えない景色。雪かきしていない歩道は、積もりっぱなしで10cm以上の積雪になっています。

信号や標識に雪が着雪してあまりよく見えない、ノーマルタイヤで滑って、ちょっとした坂が登れないため立ち往生する車が続出、そして渋滞…ホントに大混乱でした。

南岸低気圧の予報は、雨雪判別が非常に難しいというこは分かっていただけてると思います。だからこそ、1℃程度のほんの僅かな違いで、雪にも雨にもどちらにも転ぶ可能性があるわけです。そして、雨予報が雪予報に変わった途端に、一気に

災害の危険性が高まるのも南岸低気圧の特徴です。(雨の10ミリは何でもないけど、それが雪として降ると、かなりの積雪)ですから、今回はもう少「都心の積雪の可能性」を言ってくれてもよかったのではないかな。。。と感じています。

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1月19日(土) てんコロ.気象予報士講座オンサイト学習会

「てんコロ.の直前対策講座」開催します!

てんコロ気象予報士講座では、Webでの講座を行ってきましたが、今回1月の試験に向けて
試験直前対策オンサイト勉強会を実施することに致しました(^_^)/要するに、リアル講座です。

気象予報士試験の直前、ギリギリだけど「ここだけは落とさないようにしよう!」という最後の確かめ講座です。

ポイントを絞って、頻出分野や皆さんが間違えやすい分野についてのお話です。きっと、今より理解を深めていただけると思います!

また、講座の最後には「受験される方の悩みに答えちゃう」コーナーを設けております。

・学習時間を確保するのが難しく、本試験まで非常に不安である。
・実技事例に取り組んでいるが、そのやり方、記述方が大丈夫か。
・過去問をできるだけ多く解いていくべきか、それとも一つの事例にたくさんの時間をかけて取り組むべきか。
・解答を書くのに非常に時間がかかってしまう。文章を早く書く方法を教えて欲しい。

などなど、せっかく面と向かってお話できるこの機会に、ぜひ不安な点や悩みをご相談ください!

コチラの質問とそれに対する回答については、学習会開催後に改めてオンラインでもご紹介します。

【勉強会スケジュール・場所】
開催日時 2013年1月19日 14:00~ (13:30からご入場頂けます)
場所 パンダスタジオ東京 (東京都千代田区外神田6-7-3 セイコービル2階)
地図: http://pandastudio.tv/?page_id=11

【当日時間割】
学科 一般分野対策講座: 14:00~14:50
学科 専門分野対策講座: 15:00~15:50
実技試験対策講座: 16:00~17:50
お悩みに答えるコーナー: 18:00~18:30 (質問は事前受付)

【参加方法】
参加申込は、メールでの受付のみです。

お申し込みの際は、(1)氏名、(2)メールアドレス、(3)学習の疑問・悩みをご記入の上、以下のメールアドレスまで。

てんコロ オンサイト学習会 開催事務局宛 report-box@ten-coro.com

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新しい動画、2つアップしました!
*「東京の気温を当ててみよう」

気温は、その地域の地形的な特性などで、計算より大きく異なることがあります。難しいくてオモシロイです。
今回は、その東京の場合…ということです。

 

*「エマグラムで空気塊を持ち上げてみよう」

学科試験でも、実技試験でもついてまわってくる状態曲線です。基本中の基本ですが…エマグラムの使い方の基本を、SSIを出すことで復習してみます。忘れちゃった人はぜひ!

↓もうすでにアップしてあります、こちらの動画もよろしくお願いします
「気象衛星画像ばっかり見る」動画もよろしくどうぞ

 

この他にも、ユーザー登録していただくと無料で見られるミニ講座をアップしていきたいと思います(^_^)/

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※第38回の気象予報士試験「学科・一般 問6」は、解説の図が間違っています。まだ直していませんのご注意ください。なお、訂正内容については、「講師より」ということで、このページに書いてありますので、参考にしてください。宜しくお願いします。

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CATEGORIES eラーニングby.o.nakamura0 Comments2013.01.16
記事の投稿者
中村 央理雄
株式会社キバンインターナショナルの取締役。代表取締役の西村とKiBANを創業しました。eラーニングの導入後の集合研修やLMSの導入サポートを担当しています。プログラム・デザイン・ネットワークなど、創業時は、いろんなことを経験しましたが、それらのノウハウを全部活かしてeラーニングの導入を支援しています。

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