【問題】
甲が、所有する別荘を乙に売り渡す旨の契約を締結した後で、別荘が落雷により全焼した場合は、危険負担の債権者主義の問題である。(司S56-5)
【正解】○
【解説】
清腹:正解が「○」やてぇ!?その危険負担て、どういうことや?
さくら:危険負担とは、売買契約のように、当事者が互いに債務を負担するという双務契約において、一方の債務が消滅した場合に、その損失(危険)をどちらが負担するのかという問題です。
清腹:もうちょっと、まともな日本語をしゃべれんか。のぉ…、債務が消滅したとかなんや。消滅したのは別荘や。
さくら:金元さんは、売買契約に基づいて別荘を清腹さんに引き渡す債務を負っていたわけですね。別荘は、当事者が物の個性に着目して取引する物 (特定物)で、言ってみれば、世界にたった1つしかありません。そのため、全焼によって別荘を引渡すという債務は、もはや履行が不可能となり、消滅します。
清腹:金元は、ワイに別荘を引き渡さなくて、ええってことやろ。そいつは承知じゃ。問題はじゃ。なんでワイが代金を請求されるんや。
さくら:それは、民法が、特定物に関する物権の設定または移転を双務契約の目的とした場合においてその物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失または損傷したときは、その損失(危険)は、債権者が負担するとしているからです(534条)。
金元:落雷での全焼ですから、俺に落ち度はないわけでして…。したがって、その損失は、物の引渡しについての債権者である清腹さんが負われることに…。
さくら:債権者が危険を負担するので、債権者主義といいますね。よって、売主の債務が消滅しても、買主の債務である代金支払い債務は消滅せず、金元さんは、清腹さんに代金を請求できるというわけです。
清腹:あーぁ、人生、挫折ありきや。どや、金元、お前もワイと一緒に損失を被れや
【条文】
(債権者の危険負担)
第534条 特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。
2 不特定物に関する契約については、第401条第2項の規定によりその物が確定した時から、前項の規定を適用する。
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●葛原久美先生プロフィール
明治大学リバティーアカデミー行政書士講座講師。大手資格教材作成会社での法律系資格eラーニング教材作成を5年以上担当後、2003年株式会社ベリースを設立。司法書士など難関資格とのダブル受験者が合格者の90%以上を占める隠れた難関資格の行政書士試験(合格率6~9%)にもかかわらず、講座開始以来、初学者の1発合格者を毎年輩出し、全体の合格率を常に上回り続ける。オリジナルストーリーを使用した独創の過去問解説は「笑える」「覚えやすい」と評判。著作に『行政書士 合格集中ゼミ 2006年度版』(ソフトバンククリエイティブ)。
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━━(編集後記)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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