気象予報士試験 実技:南岸低気圧で問われること

下の図は今日の天気図です。九州地方の方に前線を伴った低気圧がありますが、これがこの後、明日にかけて本州の南岸沿いを低気圧が東進していく予定…いわゆる南岸低気圧です。南岸ギリギリを通る予定です。

今日は、南岸低気圧の問題が出た時に問われるいくつかのポイントを考えてみます。

<21日15時>

<22日3時地上予想図※等圧線は2hPaごと>

<冬型の時に日本海側で降る雪と南岸低気圧で太平洋側に降る雪は違う>
冬型も南岸低気圧も勉強した人は分かっているかもしれませんが、同じ雪でも降るシステムがちょっと違います。
大きく違うのは、冬型の雪は地表面が暖かい所に寒気が流れ込んで発達する雲、つまり不安定な大気の状態でできる対流雲から降る雪です。一方、南岸低気圧で降る雪は、前線(特に温暖前線)の北側に広がる層状の雲から降る雪で下層にある冷気層の上に暖気がびゅんびゅん入ってくる、安定した成層で降る雪です。今、サラッと言った「下層の冷気層」がくせものです。こいつのせいで、南岸低気圧による降水の雨雪判別が難しくなります。

<低気圧のコース>
南岸低気圧と一口に言っても、陸地から遠く離れたり、はたまた今回のように南岸ギリギリを通ったりと様々で、特に定義があるわけではありません。前述した通り、低気圧が陸地に近ければ、降水量もかなり多くなります。が、同時に前線の南側から吹き込む暖気の影響も受けやすくなります。すると、降水は雨ということになります。逆に、低気圧が遠ければ、暖気の影響もあまり受けずに雪になることが多いですが、一方で降水量は少なく、なんだったら遠すぎて降水自体がないということもあります。非常に微妙なヤツです^_^;しかし、一番の問題は雲底下の気温です。

<雲底下の冷気層>
よく、平地で雪になる850hPa気温の目安が「ー6℃」と言われますが、南岸低気圧の場合はそれを目安にして気抜いてると、大はずしします^_^;。それよりも下層の冷気が重要になります。大気の下層に冷気層がビシッとできてしまう要因には、例えば以下のようなものが挙げられます。

・降水粒子によるもの
・関東以北から南岸低気圧の北側に吹き込む冷気流
・放射冷却による地表面付近の気温の低下

この中でも一番大きな影響を与えるのが、降水粒子による冷気です。雲の中では雪であっても、自分の頭の上に落ちてくるまでに融けてしまえば雨ですが、その解ける過程で潜熱が奪われ気温が一気に下がり、雪に変わるとか、下層が乾燥していると、雪片から昇華が起こりやはり潜熱が奪われ、気温が下がるということがあります。この場合は、降水の強さがかなり大きく関わってきます。南岸低気圧のコースとしては、陸地に近い所を通り、850hPaぐらいの温度場の変化を見ると、もはや雨だろうな~というぐらい、暖気が入っていることがあります(温度はもちろん氷点下ですが)。

こういう時は、降水が強く、前述した効果が大きくなり下層の冷気層がしっかり維持されると、大雪になりかねない状態です。こういう時が一番危険で、「暖気が入って雨」の予報から一転「大雪」になる可能性があるということです。試験に出るパターンの一つです。

また、下層の乾燥度合いと気温を比較して、雪になるところと、雨になるところの違いなどの出題があります。

2番目のパターンは、関東の北部にある冷気が低気圧の接近に伴って、南下してくることで下層が冷え、雪になる形です。
高気圧の中心が北日本を通過していく時、南岸の低気圧の発達が勢いがいい時などはこんな事になります。
850hPa面の等温線などがくさび状に関東に入り込む形が顕著に現れ、その特徴について問われるような出題がたまにあります。答え方などに慣れておくと便利です。また、局地的なアメダスの気温変化から、等値線を引かせる問題などもあります。そういう時は、全く何を問われてるか分からない状態よりも「内陸に寒気があるんだろうな」と分かってて引く方が、幾分ですが線が引きやすいですよね(^_^)

3つ目は、降水が始まる前に晴れて放射冷却がある程度効いてるところで雪になるというパターンです。3つのうち、問題になる頻度は低いかもしれません。放射冷却でできる冷気層は非常に低いものですから、雨雪の判別に影響を与えるほどではないということもあるのですが、気をつけなければならないのは盆地などです。夜間に放射冷却で冷えた空気は斜面を下って盆地に溜まります。すると、本来は背の低かった冷気層も、わりと厚みが出てしまい雨雪に影響を及ぼすことがあります。

今回は、文字情報ばっかりになってしまいました。今夜から明日朝にかけての南岸低気圧による降水は、どうなるでしょう

(>_<)

<22日3時 850hPa気温・流線、降水域>

関東南部にがっつり降水域がかかり始める頃の、850hPaの温度場、風の流れ(流線)です。暖気の突っ込みはかなり強そうで、降水量がかなり多くなりそうですね。寒気的には大して強くないですが、0℃以下の空気がまだ残っている状態です。この時間までに、降水量がしっかりしたものがあれば、八王子とかあたりは雪の可能性あるかしら…。

この雨雪判別がギリギリの温度場では、まず積雪にはならないとは思いますが。。。要チェックですね(^_^)


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CATEGORIES eラーニングby.o.nakamura0 Comments2012.12.21
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記事の投稿者
中村 央理雄
株式会社キバンインターナショナルの取締役。代表取締役の西村とKiBANを創業しました。eラーニングの導入後の集合研修やLMSの導入サポートを担当しています。プログラム・デザイン・ネットワークなど、創業時は、いろんなことを経験しましたが、それらのノウハウを全部活かしてeラーニングの導入を支援しています。

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