恐らく、日本一有名な気象レーダーではないかと思われる、富士山レーダー。現在ではその運用を終え、山梨県富士吉田市に移設されて、富士吉田市立富士山レーダードーム館として公開されています。
こんな間近(東京から日帰り圏内)に展示されているんだから見に行かない手はない!という訳で行って来ましたよ、富士吉田市立富士山レーダードーム館!
そもそも気象レーダーってなに
レーダーと言えば実物を見たり触ったりしたことがなくてもなんとなく分かるかと思います。電波を飛ばして返ってきた時間から物体の方位や位置なんかを知るあれです。例えば、飛行機の位置を知るためのレーダーなんかが有名ドコロではないでしょうか。それの気象版、つまり電波を飛ばして雨や雪を観測するものが気象レーダーです。
気象庁のホームページによると↓
気象レーダーは、アンテナを回転させながら電波(マイクロ波)を発射し、半径数百kmの広範囲内に存在する雨や雪を観測するものです。発射した電波が戻ってくるまでの時間から雨や雪までの距離を測り、戻ってきた電波(レーダーエコー)の強さから雨や雪の強さを観測します。 また、気象ドップラーレーダーは、雨や雪の強さに加え、戻ってきた電波の周波数のずれ(ドップラー効果)を利用して、雨や雪の動きを観測することができます。
と書いてありますね。要は、こういう事です。
なぜ富士山に?
はい、ではその気象レーダーがなぜ富士山の上に必要だったのか?
それにはとっても深いわけがあります。なにも、伊達や酔狂で富士山の頂上に建築物おっ建てた訳ではないのです。
1950年代当時、台風というのは恐ろしい災害でした。(今でも十分恐ろしいですけど。)、洞爺丸台風の際には、青函連絡船は転覆し1000名以上の死者・行方不明者を出し、1959年の伊勢湾台風では、死者行方不明者5,000名という大災害となったそうです。この台風という難敵をいち早く捕捉するための台風の砦として、周りに遮蔽物のない富士山頂にレーダーを設置する必要があったわけです。この設置の物語は非常に面白く、書籍や映像(プロジェクトX)にもなっているので、興味があれば是非ご覧頂ければ。
Plan position indicator
建物の中には実際に富士山測候所で活躍したと思われる機器が鎮座してまして、それだけで非常にワクワクするのですが、撮影禁止、との事なので割愛。PPIブラウン管モニターとか、富士山レーダーからの映像はこう見える、とか、ただ単に電波の跳ね返りを表示させるだけだと地形エコー(クラッター)が邪魔なので地形エコーは除去して雨雪の情報だけにするのだ!,とか、気象に興味のある方には是非みて頂きたいモノ・解説満載です。
ちなみに、Plan position indicatorというのは、和訳すると平面位置表示器、で、和訳してもさっぱりわからないよ!なんですが、ようは、これ。
ほら、なんかレーダーっぽい映像のときは必ず出てくる、走査線がぐるぐる回って、ピコーンとか反応返すアレです。これっぽいやつに、日本の南に台風がいる場合の映像(見え方)が展示されています。
館内の写真は撮れなかったので、館外のこれ。
実は富士山レーダーの特徴は、富士山から強力電波飛ばして広範囲に目を光らせるぜ! だけではなくて、その監視した結果を、東京の気象庁に居ながらにして分かる。(富士山で観測された映像が即座に気象庁に)というのもありました。このアンテナが、富士山から気象庁めがけて電波を飛ばしていたわけです。
はい、というわけで、肝心の中の写真はあまり無いですが、気象に興味、レーダーに興味のある人向けには面白い場所だと思いますので、是非どうぞ。
富士山レーダードーム館へのアクセスは、以下を御覧ください。
富士山レーダードーム館へのアクセス
http://www.fujiyoshida.net/forms/info/info.aspx?info_id=2391
おまけ
富士山レーダードーム館におじゃましたときは、敷地(というかレーダードーム館じたいが、何かの公園内にある?)で地元山梨の食のフェスティバル的な事をやっておりました。で、鹿カレーも出店がでておりました。で、食べてみましたが味はなんというか普通。カレー恐るべしですよ。なんでも美味しい食事にしてしまう魔法のスパイスです。
気象レーダーなど、気象予報に関する技術は、佐々木恭子先生の気象予報士講座でも学べます。興味がありましたら是非どうぞ!
その他の関連文献
富士山レーダーの設置と運用をめぐって
http://www.geog.or.jp/journal/back/pdf111-5/p780-782.pdf
富士山頂 著:新田次郎
NHKオンデマンド
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2010020447SA000/index.html