アフロ先生のアシスタントさんが、H29年度登録販売者試験(奈良)より、問題をピックアップして、楽しいパンダに扮し詳しい解説講義をしてくれました。youtubeで無料で順次公開中です!!
問題 29~医薬品の吸収と代謝ついて~
医薬品の吸収と代謝に関する記述のうち、正しいものの組み合わせを1つ選びなさい。
a 消化管からの吸収は、医薬品成分の濃度の高い方から低い方へ受動的に拡散して
いく現象ではなく、消化管が積極的に医薬品成分を取り込む現象である。
b 鼻腔粘膜を介して吸収された薬物は、初めに肝臓で代謝を受けることなく全身に
分布する。
c 有効成分が皮膚から浸透して体内の組織で作用する医薬品の場合、浸透する量は
皮膚の状態、傷の有無やその程度などによって影響を受けない。
d 坐剤は、直腸内で溶解させ、薄い直腸内壁の粘膜から有効成分を吸収させるため、
内服の場合よりも全身作用が速やかに現れる。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、d) 4(c、d)
解答解説はこちら
「正解:3」
【問題5の詳しい解説】
この出題形式では2つ位問題の答えがわかると絞れることが多いです。そのため必ずしも(a)から解かなくてもよくて、自分のわかるところから解いていきましょう。
実はこの問題ではabcdの中では(a)が一番難しくわかりにくいのでbcdから解いていった方がいいかなと思います。今回は逆に(d)から順番に解いていきましょう。
(d)正。
吸収が早いからわざわざお尻から入れるのです。口から飲めない人でも点滴という手段があります。これがポイントです。
(c)誤。
影響を受けます。
怪我したところと怪我してないところで吸収が同じだと言うのはやはり少し違和感ありますよね。
実際皮膚の場合は1番外側の表皮が外側から入ってくるものをバリアとなってブロックしますので、そこに傷が付いているかいないかで、吸収率がまったく変わってくるんですね。表皮の下の真皮にまでしか血管がきていませんので、傷口ができていて真皮が露出しているというような事は、直接血管からより吸収されやすいということが言えます。皮膚の状態によって吸収はとても影響を受けます。
この段階で3の(b)(d)が答えだということがわかってしまうんですね。自信のある方は先に進んでいただいて時間があったら見直しで戻ってきてもらえればと思うんですけど本番の時はですね。でも自信がない方のために一応(a)(b)も解いてみましょう。
(b)正。
ここで考えなければならないのは普通、口から飲まれた薬はどうなるかと言うこと。
胃の中で分解されつつ小腸にたどり着いてですね、小腸からまず吸収されるんですね。これを(a)に書かれているような感じの内容で吸収されるんですけど、その吸収された後に小腸の周りにある血液から最初に肝臓に入って、全身に循環する前に1回肝臓で分解代謝を受けるんですよ。これを難しい言葉で初回通過効果といいます。とにかく全身に入る前に一回肝臓である程度の割合が代謝されちゃうんですね。それから全身に行くので結構限られた割合にしか全身周っていかないと言うことがあります。でも鼻腔粘膜の場合は直接鼻腔の粘膜から肝臓を通過しないで心臓に入って全身を周るので、吸収されたものが速やかに分解されることなく全身を周るという。これが鼻腔粘膜の吸収のメリットですね。
(a)誤。
日本語の問題でわかりにくいと思うんですが、そもそも受動拡散と能動拡散と言う言葉について勉強しましょう。
受動拡散というのは濃度の高い方から低い方へ、つまり均一になるように勝手に広がっていくのが受動拡散ですね。能動拡散はわざわざ濃度の低い方から高い方へ自然に行かないので不自然にポンプのように広げていく。これをわざわざやると言う意味で能動拡散といいます。実際、消化管からの医薬品の吸収はある一部の薬剤を除いて基本的に溶けた場所が一番濃度が高いですからその濃度が高い所からの濃度が低い消化管内に広がります。一部そういう風になりにくいものとかはポンプみたいなものを使ってわざわざ広げていく。基本的には濃度の高い所、解けた場所が一番高いですからそこから全身の薄いところへ受動拡散で広がっていくというのが一般的な消化管からの薬物の吸収の方式です。